ブランド認知度調査の調査票の作り方

「認知度調査 調査票」で検索しているあなたは、きっと自社製品やサービスの認知度を把握し、効果的なマーケティング戦略を立てたいと考えているのではないでしょうか。この記事では、ブランド認知度調査の調査票作成方法を、基礎から具体的な手順、分析方法まで網羅的に解説します。認知度の種類や調査の必要性といった基本的な知識から、質問形式、調査方法の選定、そして実際の調査票作成例まで、実務に役立つ情報を提供します。さらに、調査結果の分析方法についても分かりやすく説明することで、得られたデータを効果的に活用し、次のアクションに繋げるための道筋を示します。この記事を読み終える頃には、あなた自身で効果的な認知度調査の調査票を作成し、調査結果を分析できるようになるでしょう。例えば、自社製品「カップヌードル」の認知度を調査する場合、どのような質問項目を設定すれば効果的にデータを取得できるのか、その結果をどのように分析し、今後のマーケティング戦略に活かすことができるのかが理解できるようになります。つまり、この記事は、認知度調査を通じて、ビジネスの成長を促進するための実践的なガイドとなるのです。

目次

1. 認知度調査とは

認知度調査とは、特定のブランド、商品、サービスなどが、どの程度消費者に知られているかを調べる市場調査のことです。企業のマーケティング戦略において重要な指標であり、広告効果の測定や、新商品開発、ブランド戦略の立案などに役立ちます。消費者の認知度を把握することで、今後のマーケティング施策を効果的に展開するための基礎データを得ることが可能になります。

1.1 認知度の種類

認知度は、単に「知っているか」「知らないか」だけでなく、いくつかの段階に分類できます。代表的なものとして、以下の3つの種類があります。

1.1.1 ブランド認知

ブランド認知とは、消費者が特定のブランド名を提示された際に、「知っている」と回答する状態のことです。最も基本的な認知度の段階であり、 aided awareness(補助想起認知) とも呼ばれます。例えば、「アサヒビールというブランドを知っていますか?」という質問に対して、「はい」と答えることができれば、アサヒビールのブランド認知があると判断されます。ブランド認知は、他の認知度の種類と比較して、低いハードルで測定されます。

1.1.2 ブランド想起

ブランド想起とは、消費者が特定の商品カテゴリーを提示された際に、自発的にそのブランド名を思い出すことができる状態のことです。 unaided awareness(純粋想起認知) とも呼ばれます。例えば、「ビールのブランド名を挙げてください」という質問に対して、「アサヒビール」と回答できれば、アサヒビールのブランド想起があると判断されます。ブランド想起は、ブランド認知よりも高いハードルで測定されます。消費者がそのブランドを積極的に認識していることを示す指標となります。

1.1.3 トップ・オブ・マインド

トップ・オブ・マインドとは、消費者が特定の商品カテゴリーを提示された際に、最初に思い出すブランドのことです。 TOM (Top of Mind) とも略されます。例えば、「ビールのブランド名を挙げてください」という質問に対して、最初に「アサヒビール」と回答した場合、アサヒビールがその消費者にとってのトップ・オブ・マインドとなります。市場におけるブランドの優位性を示す重要な指標です。多くの消費者が最初に思い出すブランドは、購買行動にも大きな影響を与えると考えられます。

認知度の種類説明質問例
ブランド認知提示されたブランド名を知っているか「サントリーというブランドを知っていますか?」
ブランド想起商品カテゴリーからブランド名を想起できるか「清涼飲料水のブランド名を挙げてください」
トップ・オブ・マインド商品カテゴリーで最初に想起するブランドは何か「スマートフォンといえば、どのブランドを最初に思い浮かべますか?」

これらの認知度の種類を理解し、適切な調査を行うことで、効果的なマーケティング戦略を立案することが可能になります。例えば、ブランド認知度が低い場合は、まずはブランド名を広めるための広告展開に注力する必要があるでしょう。一方で、ブランド想起率が低い場合は、ブランドイメージを強化するための施策が重要になります。そして、トップ・オブ・マインドを獲得することができれば、市場における競争優位性を築くことができると言えます。

2. なぜ認知度調査が必要なのか

ブランド認知度調査は、企業のマーケティング活動において非常に重要な役割を果たします。認知度を把握することで、現状の課題を明確化し、効果的な戦略を立案することが可能になります。また、商品開発や改善にも役立ち、企業の成長に大きく貢献します。具体的には、以下のような点で重要です。

2.1 マーケティング戦略における重要性

認知度調査は、ターゲット層へのリーチ状況を把握し、適切なマーケティング戦略を策定するために不可欠です。例えば、認知度が低い場合は、認知度向上のための広告キャンペーンを実施する必要があるかもしれません。逆に、認知度が高い場合は、ブランドイメージの向上や購買意欲を高めるための施策に注力すべきでしょう。認知度調査の結果に基づいて、費用対効果の高いマーケティング戦略を展開することが可能になります。

認知度調査によって得られたデータは、ターゲット層の属性や消費行動と組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になります。 例えば、特定の年齢層や地域で認知度が低いことが判明した場合、その層に特化したプロモーションを実施することで、効率的に認知度を向上させることができます。

また、競合他社の認知度を調査することで、自社の市場におけるポジションを把握し、競争優位性を築くための戦略を立てることができます。競合分析は、市場シェアの拡大やブランド力の強化に不可欠です。

メリット詳細
ターゲット層へのリーチ状況把握適切な広告媒体やチャネル選定に繋がる
費用対効果の高いマーケティング戦略立案無駄な広告費の削減、効果的な予算配分が可能
競合分析による優位性構築市場における自社ブランドのポジショニングを明確化

2.2 商品開発・改善への活用

認知度調査は、商品開発や改善にも valuable な情報を提供します。新商品の開発においては、ターゲット層のニーズや嗜好を把握するために、コンセプトテストやネーミング調査などを実施することが重要です。 これらの調査を通じて、市場の需要に合致した商品を開発し、成功確率を高めることができます。例えば、味の素株式会社が新商品「Cook Do きょうの大皿」シリーズを開発する際に、消費者のニーズを調査し、簡便性と本格的な味わいを両立した商品を開発した事例は有名です。

既存商品の改善においても、認知度調査は重要な役割を果たします。顧客満足度調査を実施することで、商品の strengths and weaknesses を把握し、改善点を明確にすることができます。 例えば、キリンビール株式会社が「一番搾り」ブランドのリニューアルを行う際に、消費者の声を反映し、味わいを改良した事例は、認知度向上に繋がった好例です。

活用例詳細
新商品開発ニーズ調査、コンセプトテスト、ネーミング調査など
既存商品改善顧客満足度調査、商品イメージ調査など
ブランドイメージ構築ブランド認知に関する調査を通して、ブランドイメージを強化

このように、認知度調査は、マーケティング戦略だけでなく、商品開発や改善にも活用できる重要なツールです。企業は、認知度調査を効果的に活用することで、持続的な成長を実現することができます。

3. ブランド認知度調査の種類

ブランド認知度調査は、その質問形式や調査方法によって様々な種類に分類できます。それぞれの特徴を理解し、調査目的に最適な方法を選択することが重要です。以下に、質問形式と調査方法による分類をそれぞれ詳しく説明します。

3.1 質問形式による分類

質問形式による分類では、大きく分けて自由回答式と選択肢式があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、調査目的に合わせて使い分ける必要があります。

3.1.1 自由回答式

自由回答式は、回答者に自由に記述してもらう形式です。消費者の生の声を収集できるというメリットがある一方、集計・分析に時間と手間がかかるというデメリットもあります。定性的な情報を収集したい場合に適しています。

例えば、「サントリーという企業についてどのようなイメージをお持ちですか?自由に記述してください。」といった質問が挙げられます。

3.1.2 選択肢式

選択肢式は、あらかじめ用意された選択肢から回答を選んでもらう形式です。集計・分析が容易である一方、選択肢以外の意見を収集できないというデメリットもあります。定量的な情報を収集したい場合に適しています。

例えば、「次の飲料メーカーの中で、最もよく知っている企業はどれですか?(1つ選択) ①サントリー ②アサヒ飲料 ③キリンビバレッジ ④伊藤園」といった質問が挙げられます。

選択肢式には、単一回答と複数回答の2種類があります。単一回答は1つだけ選択してもらう形式で、複数回答は複数の選択肢を選んでもらう形式です。

3.2 調査方法による分類

調査方法による分類では、インターネット調査、郵送調査、街頭調査など、様々な方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、調査の規模や予算、ターゲット層などを考慮して選択する必要があります。

3.2.1 インターネット調査

インターネット調査は、Webサイトやメールなどを利用して行う調査です。低コストで広範囲の調査が可能というメリットがある一方、インターネットを利用しない層へのリーチが難しいというデメリットもあります。近年では最も一般的な調査方法の一つです。

アンケートサイトや自社サイト、SNSなどを活用して実施することができます。

3.2.2 郵送調査

郵送調査は、調査票を郵送で送付し、回答を郵送で回収する調査です。インターネットを利用しない層にもリーチできるというメリットがある一方、回答率が低い傾向があり、費用と時間がかかるというデメリットもあります。信頼性を重視する場合や、特定の地域に絞った調査に適しています。

対象者のリストを作成し、郵送で送付、回収を行います。督促状を送ることで回答率を向上させる工夫も必要です。

3.2.3 街頭調査

街頭調査は、街頭で通行人に直接インタビューを行う調査です。特定の地域や属性の層に絞った調査が可能というメリットがある一方、サンプル数が限られ、調査員の確保や教育に費用がかかるというデメリットもあります。特定の地域や属性の消費者の動向を把握したい場合に適しています。

調査場所の選定や、調査員のトレーニングが重要です。また、天候にも左右されるため、実施時期の選定も重要です。

調査方法メリットデメリット適しているケース
インターネット調査低コスト、広範囲の調査が可能、迅速な集計インターネットを利用しない層へのリーチが難しい、回答者の偏り幅広い層への調査、迅速な結果が必要な場合
郵送調査インターネットを利用しない層にもリーチできる、信頼性が高い回答率が低い、費用と時間がかかる特定の地域への調査、信頼性を重視する場合
街頭調査特定の地域や属性の層に絞った調査が可能、直接的な意見収集サンプル数が限られる、費用がかかる、天候に左右される特定の地域や属性の消費者の動向を把握したい場合

上記以外にも、電話調査や訪問調査など、様々な調査方法があります。それぞれの特性を理解し、調査目的に最適な方法を選択することが、精度の高いブランド認知度調査を行う上で重要です。

4. ブランド認知度調査の調査票作成の手順

ブランド認知度調査を効果的に行うためには、綿密な調査票の作成が不可欠です。調査票の質が、得られるデータの信頼性、ひいてはマーケティング戦略の成功を左右すると言っても過言ではありません。ここでは、効果的なブランド認知度調査票を作成するための手順を詳しく解説します。

4.1 調査目的の明確化

まず初めに、調査の目的を明確に定義します。何を明らかにしたいのか、その結果をどのように活用したいのかを具体的に定めることで、質問項目を絞り込み、効果的な調査設計が可能になります。例えば、「新商品のターゲット層における認知度を把握する」「既存商品の認知度向上のための課題を特定する」など、具体的な目標を設定することが重要です。

4.2 ターゲットの選定

調査対象となるターゲット層を明確に設定します。年齢、性別、居住地、職業、ライフスタイル、購買行動など、調査目的に合致したターゲット層を絞り込むことで、より精度の高いデータ収集が可能になります。例えば、20代女性をターゲットとした化粧品の認知度調査であれば、ターゲット層を「20歳~29歳の女性」と明確に定義します。

4.3 質問項目の設計

調査目的とターゲット層に基づき、具体的な質問項目を設計します。質問項目は、認知度を測る質問と、分析を深めるための補助的な質問に分けられます。

4.3.1 認知度の質問

ブランド認知度を測るための質問には、主に以下の2つの種類があります。

4.3.1.1 ブランド想起率を測る質問

「清涼飲料水といえば、どのようなブランドを思い浮かべますか?3つまで挙げてください。」のように、特定の製品カテゴリーを提示し、消費者が想起するブランド名を自由回答形式で尋ねることで、ブランド想起率を測定します。この質問では、消費者の spontaneous awareness(自発的認知)を測ることができます。

4.3.1.2 トップ・オブ・マインドシェアを測る質問

「あなたが最もよく飲む清涼飲料水のブランドは何ですか?」のように、特定の製品カテゴリーの中で最も最初に想起されるブランドを尋ねることで、トップ・オブ・マインドシェアを測定します。これは、市場におけるブランドの優位性を示す重要な指標となります。

4.3.2 補助的な質問

認知度以外の情報を収集するための質問です。これらの情報は、認知度と他の要素との関連性を分析する際に役立ちます。

4.3.2.1 属性に関する質問(性別、年齢、居住地など)

回答者の属性に関する質問は、性別、年齢、居住地、職業、年収など、ターゲット層を絞り込む際に使用した属性を含めることが一般的です。これらの情報は、認知度の違いを分析する際に重要な役割を果たします。

4.3.2.2 消費行動に関する質問

消費行動に関する質問は、特定の製品カテゴリーの購買頻度、購買場所、購買金額などを尋ねることで、消費者の購買行動を把握し、認知度との関連性を分析するために用います。例えば、「清涼飲料水を月に何回程度購入しますか?」「どのブランドの清涼飲料水をよく購入しますか?」といった質問が挙げられます。

4.4 質問の順番

質問の順番は、回答者の負担を軽減し、正確な回答を得るために重要な要素です。簡単な質問から難しい質問へ、一般的な質問から具体的な質問へと、段階的に質問を進めることが重要です。また、関連する質問をまとめて配置することで、回答者の思考を途切れさせずにスムーズな回答を促すことができます。例えば、属性に関する質問は最初に配置し、認知度に関する質問、消費行動に関する質問と順に配置するのが一般的です。

4.5 回答しやすい設問の工夫

回答しやすい設問にするためには、質問文を簡潔で分かりやすい表現にすること、専門用語や曖昧な表現を避けること、選択肢を網羅的で適切な数にすることなどが重要です。また、回答の負担を軽減するために、選択肢に「その他」や「わからない」といった選択肢を含めることも有効です。

4.6 プレテストの実施

作成した調査票を実際に使用して、プレテストを実施します。プレテストでは、質問の分かりやすさ、回答のしやすさ、調査時間などを確認し、必要に応じて修正を加えます。プレテストの実施により、本調査における問題点を事前に洗い出し、調査の精度を高めることができます。少人数で実施し、フィードバックを得ることが重要です。

5. 認知度調査 調査票 の作成例

以下に、異なる業種の認知度調査票の例を提示します。これらの例を参考に、自社の調査目的に合った調査票を作成してください。

5.1 食品メーカーの認知度調査票

例:インスタントラーメン

質問設問
ブランド想起インスタントラーメンといえば、どのようなブランドを思い浮かべますか?(3つまで)
トップ・オブ・マインド一番最初に思い浮かべたインスタントラーメンのブランドは何ですか?
購買頻度月に何回インスタントラーメンを食べますか?
好きな味どのような味のインスタントラーメンが好きですか?(複数選択可)

5.2 化粧品メーカーの認知度調査票

例:ファンデーション

質問設問
ブランド想起ファンデーションといえば、どのようなブランドを思い浮かべますか?(3つまで)
使用経験過去1年間に、どのブランドのファンデーションを使用しましたか?(複数選択可)
重視するポイントファンデーションを選ぶ際に重視するポイントは?(複数選択可)
(例:価格、仕上がり、カバー力、保湿力など)

5.3 家電メーカーの認知度調査票

例:冷蔵庫

質問設問
ブランド想起冷蔵庫といえば、どのようなブランドを思い浮かべますか?(3つまで)
使用ブランド現在使用している冷蔵庫のブランドは何ですか?
購入時の重視点冷蔵庫を選ぶ際に重視する点は?(複数選択可)
(例:容量、省エネ性能、価格、デザインなど)

6. 認知度調査 調査票 の作成例

ここでは、異なる業種の企業を想定した認知度調査票の作成例を3つ示します。これらの例を参考に、自社の状況に合わせて調査票を作成してみてください。

6.1 食品メーカーの認知度調査票

6.1.1 キッコーマンの認知度調査

醤油で有名なキッコーマンを例に、認知度調査票を作成します。

質問番号質問内容回答形式
1あなたは「キッコーマン」という企業名を知っていますか?知っている 知らない
2醤油といえば、どのメーカーを思い浮かべますか?(複数回答可)キッコーマン ヤマサ醤油 ヒゲタ醤油 その他(具体的に記入)
3キッコーマンの製品で、どのようなものをご存知ですか?(複数回答可)醤油 めんつゆ みりん その他(具体的に記入)
4あなたはどのくらいの頻度で醤油を購入しますか?週1回以上 月1~3回 年に数回 ほとんど購入しない
5あなたの性別は?男性 女性 その他 回答しない
6あなたの年齢は?10代 20代 30代 40代 50代 60代以上

6.2 化粧品メーカーの認知度調査票

6.2.1 資生堂の認知度調査

化粧品大手の資生堂を例に認知度調査票を作成します。ブランドイメージや利用状況に関する質問を加えることで、より深い分析が可能になります。

質問番号質問内容回答形式
1あなたは「資生堂」という企業名を知っていますか?知っている 知らない
2化粧品ブランドといえば、どのブランドを思い浮かべますか?(3つまで)自由回答
3資生堂のブランドで、どのようなものをご存知ですか?(複数回答可)SHISEIDO マキアージュ インテグレート その他(具体的に記入)
4あなたは資生堂の製品を使ったことがありますか?ある ない
5資生堂に対してどのようなイメージを持っていますか?自由回答

6.3 家電メーカーの認知度調査票

6.3.1 パナソニックの認知度調査

家電で有名なパナソニックを例に認知度調査票を作成します。製品カテゴリごとの認知度を調査することで、強み・弱みを把握することができます。

質問番号質問内容回答形式
1あなたは「パナソニック」という企業名を知っていますか?知っている 知らない
2家電製品メーカーといえば、どのメーカーを思い浮かべますか?(3つまで)自由回答
3以下の家電製品について、どのメーカーの製品を思い浮かべますか?各製品カテゴリごとに自由回答
テレビ 冷蔵庫 洗濯機 エアコン 電子レンジ
4あなたはパナソニックの製品を使ったことがありますか?ある ない
5今後購入を検討している家電製品はありますか?(複数回答可)自由回答

これらの例を参考に、自社の製品やサービス、ターゲット層に合わせた調査票を作成し、効果的な認知度調査を実施しましょう。質問項目や回答形式は、調査目的に合わせて柔軟に変更してください。

7. 調査結果の分析方法

ブランド認知度調査を実施した後、その結果を適切に分析することで、初めてデータが意味を持ち、今後のマーケティング戦略に活かすことができます。ここでは、調査結果を分析するための基本的な方法と、より深い分析を行うための手法を解説します。

7.1 集計とグラフ化

まずは、回収した調査票の回答を集計し、グラフ化することで全体像を把握します。例えば、各設問に対する回答の割合を円グラフや棒グラフで表示することで、視覚的に分かりやすくなります。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用すれば、容易に集計とグラフ化を行うことができます。また、専門の統計解析ソフトを用いることで、より高度な分析も可能です。

7.1.1 度数分布表の作成

各質問項目に対する回答の数を集計し、度数分布表を作成します。これにより、どの回答が最も多く選ばれているか、回答の分布状況が一目でわかります。

7.1.2 グラフによる可視化

度数分布表を元に、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなどを使ってデータを可視化します。視覚的に表現することで、データの傾向や特徴をより容易に把握できます。例えば、ブランド認知度を年齢層別に棒グラフで表示することで、どの年齢層で認知度が高いか低いかが分かりやすくなります。

7.2 クロス集計

クロス集計とは、複数の質問項目の回答を組み合わせることで、より詳細な分析を行う手法です。例えば、「ブランド認知度」と「年齢層」をクロス集計することで、年齢層別にブランド認知度がどのように異なるかを分析できます。クロス集計を行うことで、特定の層における特徴や傾向を把握し、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。

7.2.1 属性情報との関連分析

性別、年齢、居住地などの属性情報とブランド認知度をクロス集計することで、特定の属性を持つ層における認知度の高低を分析できます。例えば、20代女性のブランド認知度が高いことが分かれば、その層に向けたマーケティング施策を強化することができます。

7.2.2 消費行動との関連分析

購買頻度、購買場所、利用経験など、消費行動に関する質問項目とブランド認知度をクロス集計することで、認知度と消費行動の関連性を分析できます。例えば、ブランド認知度が高い消費者は購買頻度も高い傾向にあるのかどうかを検証することができます。

ブランド認知度購買頻度:週1回以上購買頻度:月1~3回購買頻度:ほとんど買わない
認知度:知っている100人200人100人
認知度:知らない20人50人200人

7.3 有意差検定

有意差検定とは、統計的な手法を用いて、2つのグループ間に意味のある差があるかどうかを検証するものです。例えば、新商品発売前後のブランド認知度を比較し、新商品発売によって認知度が有意に向上したかどうかを検証することができます。t検定やカイ二乗検定など、様々な検定方法があり、目的に合わせて適切な方法を選択する必要があります。統計解析ソフトを用いることで、これらの検定を容易に行うことができます。

7.3.1 t検定

2つのグループの平均値に差があるかどうかを検証する際に用いられます。例えば、男性と女性でブランド認知度に差があるかどうかを分析する際に利用できます。サンプル数が少ない場合は、ウェルチのt検定を用いると良いでしょう。

7.3.2 カイ二乗検定

2つのカテゴリ変数の間に関連があるかどうかを検証する際に用いられます。例えば、居住地域とブランド認知度の間に関連があるかどうかを分析する際に利用できます。

これらの分析方法を組み合わせることで、ブランド認知度調査の結果を多角的に分析し、より効果的なマーケティング戦略を策定することができます。例えば、クロス集計で特定の顧客層の認知度が低いことがわかった場合、その層に向けたプロモーションを実施し、再度認知度調査を実施することで、プロモーションの効果を検証することができます。

8. よくある質問

ブランド認知度調査に関してよくある質問とその回答をまとめました。

8.1 質問1:認知度調査の実施頻度は?

認知度調査の適切な実施頻度は、業種、市場の状況、企業の規模、マーケティング戦略などによって異なります。一般的には、年に1回を目安に行うことが多いです。新商品や新サービスの投入時、大規模なキャンペーン実施後など、特定のタイミングで実施することも有効です。市場の動向が速い業界では、半年ごと、あるいは四半期ごとに調査を行う場合もあります。また、競合他社の動向を常に把握するために、継続的に調査を実施する企業もあります。重要なのは、自社の状況に合わせて適切な頻度を設定することです。

8.2 質問2:適切なサンプル数は?

適切なサンプル数は、調査の精度と予算のバランスを考慮して決定します。一般的に、数百人規模のサンプルで十分な精度が得られることが多いです。ただし、ターゲット層が細かくセグメントされている場合や、より高い精度を求める場合は、数千人規模のサンプルが必要となることもあります。統計的な有意性を確保するためには、標本誤差や信頼区間などを考慮した上で、適切なサンプルサイズを算出する必要があります。以下の表は、母集団の規模に対する推奨サンプル数の目安です。

母集団の規模推奨サンプル数
1000人300人
1万人400人
10万人400人
100万人以上400人

また、予算が限られている場合は、オンライン調査などを活用することで、コストを抑えつつ、十分なサンプル数を確保することが可能です。専門の調査会社に相談することで、最適なサンプル数と調査方法を提案してもらえます。

8.3 質問3:調査にかかる費用は?

認知度調査にかかる費用は、調査方法、サンプル数、質問項目の数、分析の深度などによって大きく異なります。簡易的なオンライン調査であれば、数万円から実施可能です。一方、大規模な調査複雑な分析を伴う場合は、数十万円から数百万円かかることもあります。また、調査会社に依頼する場合は、別途費用が発生します。費用を抑えるためには、調査の目的を明確にし、必要な範囲で調査を実施することが重要です。

例えば、インターネット調査は比較的費用が抑えられますが、街頭調査郵送調査は、調査員の派遣や印刷、郵送費などがかかるため、費用が高くなる傾向があります。また、自由回答式の質問は、集計や分析に手間がかかるため、選択肢式の質問に比べて費用が高くなる可能性があります。調査会社によっては、無料で見積もりを提供しているところもあるので、複数の会社に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

以下は、調査方法ごとの費用の目安です。(あくまで目安であり、実際の費用は調査内容によって異なります。)

調査方法費用の目安
インターネット調査数万円〜数十万円
郵送調査数十万円〜数百万円
街頭調査数十万円〜数百万円

最後に、認知度調査は、ブランド構築やマーケティング戦略において非常に重要な役割を果たします。費用対効果を考慮しながら、適切な調査を実施することで、貴重なデータを得ることができ、今後の事業展開に役立てることができます。不明点があれば、専門の調査会社に相談することをおすすめします。

9. まとめ

この記事では、ブランド認知度調査の調査票の作り方について、その重要性から具体的な手順、分析方法までを解説しました。認知度調査は、企業のマーケティング戦略において欠かせないものであり、商品開発や改善にも役立ちます。調査の種類は質問形式や調査方法によって分類され、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、インターネット調査は低コストで実施できる一方、郵送調査は特定の属性に絞り込んだ調査が可能です。

調査票を作成する際には、まず調査目的とターゲットを明確にすることが重要です。質問項目は、ブランド想起率やトップ・オブ・マインドシェアを測る設問だけでなく、属性や消費行動に関する補助的な質問も必要です。質問の順番や表現にも工夫を凝らし、回答しやすい調査票を目指しましょう。作成後にはプレテストを実施し、問題点がないかを確認することも大切です。例として、キリンビール、資生堂、パナソニックといった企業を想定した調査票を紹介しました。これらの例を参考に、自社に合った調査票を作成してみてください。

調査結果の分析では、集計やグラフ化だけでなく、クロス集計や有意差検定を用いることで、より深い洞察を得ることができます。これらの分析結果を元に、今後のマーケティング戦略に活かしましょう。認知度調査は一度実施すれば終わりではなく、定期的に実施し、変化を捉えることが重要です。この記事が、効果的なブランド認知度調査の実施に役立つことを願っています。

お気軽にお問い合わせ下さい
アプリやEC、Webサービス全般のインハウスマーケティングに関するご相談や、当サイトに関する内容など、お気軽にお問い合わせください。
このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アプリやEC、Webサービス全般のインハウスマーケティングを支援しています。漫画や音楽、プロレス観戦や競馬が趣味です。

目次