1st party Cookieと3rd party Cookieの違いは?プライバシー規制の背景も踏まえて解説

1st party Cookieと3rd party Cookieの違い、分かりますか?Webサイトにアクセスするとブラウザに保存される小さなデータであるCookie。実は種類があり、それぞれ役割も違います。何となく理解しているつもりでも、プライバシー保護の観点から規制が強化されている今、改めてその違いを理解しておくことは重要です。

この記事では、1st party Cookieと3rd party Cookieの仕組みや用途、プライバシーへの影響の違いを分かりやすく解説します。さらに、GDPRや日本の個人情報保護法などのCookie規制の背景、そして企業が対応すべき対策についても詳しく説明します。この記事を読めば、Cookieに関する知識を深め、今後のWeb戦略に役立てることができます。具体的には、Cookieの種類による適切な活用方法や、プライバシー保護に配慮したWebサイト運営のヒントが得られます。

目次

1. 1st party Cookieとは

1st party Cookie(ファーストパーティCookie)とは、ユーザーがアクセスしているWebサイトのドメインによって発行されるCookieのことです。ブラウザに保存され、次回同じサイトにアクセスした際に、WebサーバーがそのCookieを読み取ることができます。ユーザーのWebサイト内での行動を追跡するために利用されます。

1.1 1st party Cookieの仕組み

ユーザーがWebサイトにアクセスすると、WebサーバーはHTTPレスポンスヘッダーの一部としてSet-Cookieを送信し、ユーザーのブラウザにCookieを保存します。このCookieには、名前、値、有効期限、パス、ドメインなどの情報が含まれています。次回同じユーザーが同じサイトにアクセスすると、ブラウザは保存されているCookieをHTTPリクエストヘッダーの一部としてWebサーバーに送信します。Webサーバーはこの情報を利用して、ユーザーを識別したり、過去の行動に基づいたサービスを提供したりします。

1.2 1st party Cookieの用途

1st party Cookieは、Webサイトの機能性やユーザーエクスペリエンスの向上に役立つ様々な用途で使用されています。主な用途は以下の通りです。

1.2.1 ログイン情報の保持

1st party Cookieを利用することで、ユーザーのログイン情報を保存し、次回アクセス時に自動的にログインさせることができます。これにより、ユーザーは毎回ログイン情報を入力する手間を省くことができます。ログイン状態を維持するためのセッション管理にCookieは不可欠です。

1.2.2 サイトのカスタマイズ

ユーザーの設定や好みに基づいてWebサイトの表示をカスタマイズするために、1st party Cookieが使用されます。例えば、言語設定、表示設定、地域設定などを保存することで、ユーザーにとってより快適なWeb体験を提供できます。ECサイトでは、閲覧履歴に基づいておすすめ商品を表示するパーソナライゼーションにも活用されます。

1.2.3 ショッピングカート機能

ECサイトでは、1st party Cookieを使用してショッピングカート内の商品情報を保存します。ユーザーがサイト内を移動しても、カート内の商品が保持されるため、スムーズな購入手続きが可能になります。カート内の商品を記憶することで、ユーザーの離脱を防ぎ、購買率の向上に貢献します。

用途具体的な例
ログイン情報の保持ユーザーID、パスワード(ハッシュ化)
サイトのカスタマイズ言語設定、通貨、テーマカラー
ショッピングカート機能商品ID、数量、オプション
Webサイトの分析訪問回数、滞在時間、閲覧ページ
A/Bテスト表示されたバージョンの情報

上記以外にも、Webサイトの分析やA/Bテストなど、様々な用途で1st party Cookieが活用されています。Webサイト運営者にとって、ユーザー体験の向上やビジネスの成長に欠かせない技術と言えるでしょう。

2. 3rd party Cookieとは

3rd party Cookie(サードパーティCookie)とは、アクセスしているウェブサイトのドメインとは異なるドメインから発行されるCookieのことです。例えば、example.comというサイトにアクセスした際に、ad.example.netのような異なるドメインからCookieが設定される場合があります。これが3rd party Cookieです。ユーザーのWebブラウジング行動を追跡するために広く利用されてきましたが、プライバシー concernsの高まりから規制が強化されています。

2.1 3rd party Cookieの仕組み

ユーザーがウェブサイトにアクセスすると、ウェブサイトに埋め込まれたサードパーティのスクリプト(広告配信サービスやアクセス解析ツールなど)が実行されます。このスクリプトを通じて、サードパーティのサーバーからユーザーのブラウザにCookieが設定されます。このCookieには、ユーザーがアクセスしたページの情報やクリックした広告の情報などが記録されます。その後、ユーザーが他のウェブサイトにアクセスした際にも、同じサードパーティのスクリプトが読み込まれれば、以前に設定されたCookieを読み取ることができます。これにより、サードパーティはユーザーのWeb上での行動を複数サイトに渡って追跡することが可能になります。

2.2 3rd party Cookieの用途

3rd party Cookieは、主に以下の用途で使用されます。

2.2.1 行動ターゲティング広告

ユーザーのWebブラウジング履歴に基づいて、興味関心に合わせた広告を表示するために利用されます。例えば、旅行関連のサイトをよく閲覧しているユーザーには、旅行会社の広告が表示される可能性が高くなります。これにより、広告主はより効果的に広告を配信することができ、ユーザーは自分に関連性の高い広告を見ることができます。

2.2.2 アクセス分析

ウェブサイトへのアクセス状況を分析するために利用されます。どのサイトからユーザーが流入してきたか、どのページがよく閲覧されているかなどを把握することで、ウェブサイトの改善に役立てることができます。代表的なアクセス解析ツールとしてGoogleアナリティクスが挙げられますが、3rd party Cookieを利用した計測が主流でした。

用途具体的な例メリットデメリット
行動ターゲティング広告旅行サイトを閲覧したユーザーに、旅行会社の広告を表示する広告主は効率的に広告配信でき、ユーザーは関連性の高い広告を見ることができるプライバシー concernsがある
アクセス分析どのサイトからユーザーが流入してきたかを分析するウェブサイトの改善に役立つプライバシー concernsがある
ソーシャルメディア連携ウェブサイトに「いいね!」ボタンなどを設置するユーザーの利便性向上、サイトの拡散プライバシー concernsがある
アフィリエイトマーケティング商品購入に至った場合、アフィリエイトサイトに報酬を支払うウェブサイトの収益化プライバシー concernsがある

これらの用途以外にも、ソーシャルメディア連携機能やアフィリエイトマーケティングなど、様々な用途で3rd party Cookieが利用されています。しかし、プライバシー concernsの高まりから、3rd party Cookieの利用は制限されつつあります。そのため、代替技術の導入が進んでおり、今後の動向に注目する必要があります。

3. 1st party Cookieと3rd party Cookieの違い

1st party Cookieと3rd party Cookieの主な違いは、発行元、利用範囲、プライバシーへの影響の3点です。これらの違いを理解することは、Webサイトの運営やユーザーのプライバシー保護の観点から非常に重要です。

3.1 発行元の違い

1st party Cookieは、アクセスしているWebサイト自身によって発行されます。例えば、「example.com」というドメインのWebサイトにアクセスした場合、「example.com」ドメインから発行されるCookieが1st party Cookieです。

一方、3rd party Cookieは、アクセスしているWebサイトとは異なるドメインによって発行されます。Webサイトに埋め込まれた広告やアクセス解析ツールなどが、異なるドメインからCookieを発行することがあります。例えば、「example.com」にアクセスした際に、「ad.example.net」というドメインからCookieが発行された場合、これは3rd party Cookieとなります。

Cookieの種類発行元
1st party Cookieアクセス中のWebサイトと同じドメインexample.comにアクセス中にexample.comから発行
3rd party Cookieアクセス中のWebサイトと異なるドメインexample.comにアクセス中にad.example.netから発行

3.2 利用範囲の違い

1st party Cookieは、発行元のWebサイト内でのみ利用されます。発行元以外のWebサイトではアクセスできません。そのため、Webサイト運営者は、ユーザーのサイト内での行動履歴に基づいて、サイトのパーソナライズや利便性向上に活用できます。

3rd party Cookieは、複数のWebサイトを横断して利用される可能性があります。同じ3rd party Cookieを発行する広告配信事業者であれば、異なるWebサイトにおけるユーザーの行動履歴を把握し、行動ターゲティング広告などに活用できます。これが、プライバシー concernsの主要な原因となっています。

Cookieの種類利用範囲
1st party Cookie発行元Webサイト内のみ
3rd party Cookie複数のWebサイトを横断して利用される可能性あり

3.3 プライバシーへの影響の違い

1st party Cookieは、Webサイトの利便性向上に役立ちますが、適切に管理されなければユーザーのプライバシーを侵害する可能性があります。例えば、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴などが含まれる場合、情報漏洩のリスクも存在します。そのため、適切なセキュリティ対策とプライバシーポリシーの明示が重要です。

3rd party Cookieは、ユーザーのWeb上での行動が複数のWebサイトを横断して追跡される可能性があるため、プライバシー concernsがより大きくなります。ユーザーが知らないうちに、自分の行動履歴が広告配信事業者などに収集され、利用されている可能性があるためです。このため、近年では、3rd party Cookieの利用を制限する動きが強まっています。ブラウザのトラッキング防止機能やプライバシー保護規制などがその例です。

4. Cookie規制の背景

昨今、インターネット上でのプライバシー保護の重要性が高まり、Cookie利用に対する規制が強化されています。 様々な法規制やブラウザの仕様変更が、ウェブサイト運営者に大きな影響を与えています。Cookie規制の背景には、個人情報の保護意識の高まりと、技術の進化に伴うデータ収集・利用の高度化があります。 消費者の行動履歴が詳細に追跡され、プライバシーが侵害されるリスクへの懸念が広がっているのです。

4.1 個人情報保護の重要性

インターネットの普及により、個人情報の収集・利用が容易になりました。しかし、個人情報が悪用されると、プライバシー侵害、差別、犯罪などに繋がる恐れがあります。そのため、個人情報を適切に保護することは、個人の権利を守る上で不可欠です。個人情報保護の重要性は、国際社会でも広く認識されており、様々な法律やガイドラインが策定されています。

4.2 GDPR(EU一般データ保護規則)

GDPRは、EU域内で適用される個人情報保護に関する包括的な法規制です。域外適用という特徴を持ち、EU域内に拠点を持たない企業であっても、EU域内の個人データを扱う場合はGDPRの対象となります。GDPRでは、Cookieも個人データに該当するとされており、Cookieの利用にはユーザーの同意が必要となります。 違反した場合には高額な制裁金が科せられる可能性があるため、企業はGDPRへの準拠が必須となっています。

4.3 CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)

CCPAは、アメリカ合衆国カリフォルニア州で施行されている消費者プライバシー保護法です。カリフォルニア州に居住する消費者の個人情報を扱う企業に適用されます。CCPAはGDPRと同様に、Cookieの利用に制限を設けており、企業は消費者にCookieの利用目的を明示し、オプトアウトの選択肢を提供する必要があります。消費者の権利を強化するCCPAは、アメリカにおけるプライバシー保護の重要な一歩とされています。

4.4 日本の個人情報保護法

日本では、個人情報保護法が個人情報の保護に関する基本的なルールを定めています。個人情報保護法は、事業者に対して個人情報の適切な取扱いを義務付けており、違反した場合には罰則が科せられます。Cookieについても、個人情報に該当する場合には個人情報保護法の適用対象となります。改正個人情報保護法では、Cookie利用に関する規定が強化され、より厳格な対応が求められています。

4.5 ITP(Intelligent Tracking Prevention)

ITPは、Apple社が開発したSafariブラウザに搭載されているトラッキング防止機能です。ITPは、サードパーティCookieの利用を制限することで、ユーザーのプライバシーを保護することを目的としています。ITPの導入により、ウェブサイト運営者は従来のアクセス分析やターゲティング広告の手法を見直す必要に迫られています。ITPは、他のブラウザベンダーにも影響を与え、プライバシー保護を重視する動きが加速しています。

規制・仕様対象地域/ブラウザ主な内容
GDPREU域内Cookie利用への同意取得義務、データ主体権利の保障
CCPAカリフォルニア州消費者のデータアクセス権、削除権、オプトアウト権の保障
日本の個人情報保護法日本個人情報の適切な取扱い、利用目的の特定
ITPSafariサードパーティCookieの利用制限

これらの規制やブラウザの仕様変更は、ウェブサイト運営者にとって対応が必須となっています。適切な対応をしなければ、法的リスクやビジネスへの影響が生じる可能性があります。今後の動向にも注意を払い、適切な対策を講じる必要があります。

5. Cookie規制への対応

Cookie規制は、Webサイト運営者にとって無視できない重要な課題となっています。適切な対応を怠ると、法的リスクだけでなく、ユーザーの信頼を失うことにも繋がりかねません。以下では、Cookie規制に効果的に対応するための具体的な方法を解説します。

5.1 プライバシーポリシーの明示

プライバシーポリシーは、Webサイトにおける個人情報の収集、利用、管理方法をユーザーに開示するための重要な文書です。Cookieの利用目的、種類、保存期間などを明確かつ分かりやすく記載することで、ユーザーの不安を解消し、透明性を高めることができます。具体的には、Cookieの種類(ファーストパーティCookie、サードパーティCookie)、使用目的(ログイン情報の保持、サイトのカスタマイズ、広告配信など)、保存期間、Cookieの無効化方法などを明記する必要があります。また、プライバシーポリシーは常に最新の情報に更新し、アクセスしやすい場所に掲載することが重要です。

5.2 Cookie利用への同意取得

多くの国や地域では、Cookieを利用する前にユーザーの同意を得ることが義務付けられています。同意取得には、Cookieバナーやポップアップウィンドウなどを用いて、Cookieの利用目的を説明し、同意ボタンをクリックしてもらう方法が一般的です。同意を得る際には、ユーザーが自由に選択できるよう、同意する、同意しない、設定を変更するなどの選択肢を提供する必要があります。また、ユーザーがいつでも同意を撤回できる仕組みを設けることも重要です。

5.3 代替技術の導入

Cookie規制の強化に伴い、Cookieに依存しない代替技術の導入が注目されています。以下に代表的な代替技術をまとめました。

技術概要メリットデメリット
コンテキスト広告Webページのコンテンツに基づいて関連性の高い広告を表示する技術ユーザーのプライバシーを保護しつつ、効果的な広告配信が可能Cookieを利用した行動ターゲティング広告に比べて、広告の精度が低い場合がある
プライバシーサンドボックスGoogleが提唱する、プライバシー保護と広告効果の両立を目指すイニシアチブユーザーのプライバシーを保護しながら、パーソナライズ広告を実現できる可能性がある開発段階であり、具体的な実装方法や効果は未確定
Federated Learning of Cohorts (FLoC)プライバシーサンドボックスの取り組みの一つで、ユーザーを類似の興味・関心を持つグループ(コホート)に分類し、グループ単位で広告配信を行う技術個々のユーザーの行動を追跡することなく、興味・関心に基づいた広告配信が可能コホートの形成方法によっては、プライバシー上の懸念が生じる可能性がある

これらの代替技術は、Cookie規制に対応するための有効な手段となります。それぞれの技術の特性を理解し、自社のWebサイトに最適な技術を選択することが重要です。また、これらの技術は常に進化しているため、最新の情報に注意を払い、必要に応じて導入を検討することが重要です。

6. まとめ

この記事では、1st party Cookieと3rd party Cookieの違いについて、仕組み、用途、プライバシー規制の背景を踏まえて解説しました。1st party CookieはWebサイトの発行元が発行し、ログイン情報保持やサイトのカスタマイズなどに利用されます。一方、3rd party CookieはWebサイトの発行元以外の第三者が発行し、行動ターゲティング広告やアクセス分析などに利用されます。大きな違いは発行元と利用範囲です。

昨今のプライバシー保護への意識の高まりから、GDPRやCCPA、日本の個人情報保護法など、世界各国でCookie規制が強化されています。サイト運営者は、プライバシーポリシーの明示やCookie利用への同意取得など適切な対応が必要です。また、ITPのようなブラウザの追跡防止機能も強化されており、Cookieに依存した従来のWeb広告やアクセス分析は難しくなってきています。

今後、コンテキスト広告やプライバシーサンドボックスなどのCookie代替技術の導入が進むと考えられます。Webサイト運営者や広告主は、プライバシー保護の動向を注視し、適切な対策を講じる必要があります。

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この記事を書いた人

アプリやEC、Webサービス全般のインハウスマーケティングを支援しています。漫画や音楽、プロレス観戦や競馬が趣味です。

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