アトリビューションとは?必要性や主な種類(モデル)、分析方法を分かりやすく解説

Webマーケティングで成果を最大化するには、どの施策がコンバージョンに貢献したかを正確に把握することが不可欠です。しかし、顧客はWebサイトへの訪問、資料請求、商品の購入に至るまで、様々な経路を経てコンバージョンに至ります。そこで重要となるのが「アトリビューション」です。

この記事では、アトリビューションの基本的な意味から、その必要性、主要な種類(モデル)、Google アナリティクス4 を活用した分析方法、そして分析結果に基づいた改善策までを網羅的に解説します。これを読めば、複雑な顧客行動を理解し、限られたマーケティング予算を最大限に活用するための具体的な方法を理解できるでしょう。最終的には、データに基づいた意思決定で、売上向上や顧客獲得の効率化を実現できるようになります。

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目次

1. アトリビューションとは

コンバージョンに至るまでの、様々な顧客接点(タッチポイント)それぞれにどれだけの貢献度を割り当てるかを示す考え方、またはその貢献度の配分をアトリビューションといいます。

1.1 アトリビューションの基本的な意味

Webマーケティングの世界で「アトリビューション」とは、コンバージョン(購入、会員登録、資料請求など)に至るまでに、ウェブサイトへの訪問、広告のクリック、メールマガジン開封といった様々な顧客接点(タッチポイント)が、それぞれどの程度コンバージョンに貢献したかを評価する指標やその配分方法を指します。顧客がコンバージョンに至るまでの道のりを分析し、それぞれのタッチポイントに適切な価値を与えることで、マーケティング施策の効果測定と改善をより正確に行うことができます。 例えば、ある商品を購入した顧客が、最初に検索広告をクリックし、その後ディスプレイ広告を閲覧し、最終的にソーシャルメディアの投稿を見て購入に至ったとします。この場合、どのタッチポイントが最も貢献したと言えるでしょうか?単純に最後のタッチポイントであるソーシャルメディアだけを評価するのではなく、それぞれのタッチポイントの貢献度を分析するのがアトリビューション分析です。

1.2 アトリビューションとマーケティングの関係

従来のWebマーケティングでは、コンバージョン直前のタッチポイント(ラストクリック)のみを重視する傾向がありました。しかし、顧客の購買行動は複雑化しており、複数のタッチポイントを経由してコンバージョンに至るケースが増えています。そのため、ラストクリックだけを評価するだけでは、他のタッチポイントの貢献度が見落とされ、マーケティング施策の効果を正しく評価できない可能性があります。アトリビューション分析を行うことで、各タッチポイントの貢献度を可視化し、費用対効果の高いマーケティング施策に予算を集中投下したり、効果の低い施策を改善したりすることが可能になります。例えば、最初のタッチポイントである検索広告が顧客の購買意欲を高める上で重要な役割を果たしていたにも関わらず、ラストクリック重視の分析ではその貢献度が過小評価されてしまう可能性があります。アトリビューション分析を導入することで、このような見落としを防ぎ、より効果的なマーケティング戦略を立案することができるようになります。具体的な例として、認知フェーズで重要な役割を果たすブログ記事への投資を増やす、比較検討フェーズで効果的なリターゲティング広告の配信内容を最適化する、など多岐に渡ります。

アトリビューション分析の有無メリットデメリット
分析なし(ラストクリック重視)分析がシンプルで分かりやすい顧客行動の全体像を把握できない
他のタッチポイントの貢献度が見落とされる
分析あり顧客行動の全体像を把握できる
費用対効果の最適化が可能
より効果的なマーケティング戦略を立案できる
分析に手間と時間がかかる
適切なアトリビューションモデルの選定が必要

2. アトリビューションが必要な理由

現代のデジタルマーケティングにおいて、アトリビューション分析はもはや必須と言えるでしょう。なぜなら、複雑化した顧客行動を正確に把握し、マーケティング施策の効果を最大化するためには、アトリビューション分析が不可欠だからです。ここでは、アトリビューションが必要な3つの理由を解説します。

2.1 デジタルマーケティングの複雑化

インターネットの普及とデバイスの多様化により、顧客の購買プロセスは複雑化しています。顧客はウェブサイト、SNS、検索エンジン、メールマガジンなど、様々なタッチポイントを経由して商品やサービスの情報に触れ、購買に至ります。従来のラストクリックアトリビューションのような単一のタッチポイントに着目した分析では、顧客の行動を正しく理解することは難しく、効果的なマーケティング施策を立案することはできません。アトリビューション分析を行うことで、それぞれのタッチポイントがコンバージョンにどのように貢献したかを把握し、多様化した顧客行動を理解することが可能になります。 例えば、認知フェーズで重要な役割を果たしたブログ記事や、比較検討フェーズで効果を発揮したリスティング広告など、それぞれのタッチポイントの貢献度を可視化することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

2.2 費用対効果の最適化

限られたマーケティング予算を最大限に活用するためには、費用対効果(ROI)の最適化が重要です。アトリビューション分析によって、どのタッチポイントが最もコンバージョンに貢献しているかを把握することで、費用対効果の高い施策に予算を集中投下し、無駄な広告支出を削減することができます。 例えば、ラストクリックアトリビューションではコンバージョンに直接繋がった最後のタッチポイントのみが評価されるため、それ以前のタッチポイントの貢献度が見落とされてしまいます。アトリビューション分析を活用することで、間接的にコンバージョンに貢献したタッチポイントも評価することができ、より正確な費用対効果の測定が可能になります。

以下の表は、各チャネルの費用とコンバージョン数を示した例です。アトリビューション分析を行うことで、単純なコンバージョン数だけでなく、各チャネルの貢献度を考慮した費用対効果を評価できます。

チャネル費用コンバージョン数
リスティング広告100,000円10件
ソーシャルメディア広告50,000円5件
メールマガジン20,000円2件

2.3 顧客理解の深化

アトリビューション分析は、顧客理解を深める上でも非常に有効です。顧客がどのような経路でコンバージョンに至っているかを分析することで、顧客の行動パターンやニーズをより深く理解することができます。 例えば、特定のキーワードで検索した後にウェブサイトを訪問し、資料請求を経てコンバージョンに至る顧客が多いことが分かれば、そのキーワードに関連するコンテンツを強化することで、更なるコンバージョン数の増加が期待できます。また、アトリビューション分析によって得られた知見は、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップの作成にも役立ちます。顧客理解を深めることで、よりパーソナライズされたマーケティング施策を実施することが可能になり、顧客満足度の向上にも繋がります。

3. アトリビューションの主な種類(モデル)

Webサイトへのコンバージョン(成果)には、様々な経路が存在します。どの接点がコンバージョンにどれくらい貢献したかを評価するための指標がアトリビューションモデルです。適切なモデルを選択することで、マーケティング施策の効果測定と改善をより正確に行うことができます。代表的なアトリビューションモデルを以下に紹介します。

3.1 ラストクリックアトリビューション

コンバージョン直前の最後の接点に100%の貢献度を割り当てるモデルです。シンプルなモデルで分かりやすい一方、コンバージョンに至るまでの他の接点の貢献が無視されるため、全体像を把握するには不十分な場合があります。例えば、検索広告をクリックして商品を購入した場合、その検索広告のクリックのみが評価され、それ以前のウェブサイトへの訪問やメルマガの影響などは考慮されません。導入が容易で手軽に利用できる反面、他のチャネルの貢献度を過小評価する可能性があるため、注意が必要です。

3.2 ファーストクリックアトリビューション

コンバージョンに至る最初の接点に100%の貢献度を割り当てるモデルです。認知や最初の顧客接点を重視する場合に適しています。例えば、最初にバナー広告を見てウェブサイトに訪問し、その後、数日後に検索広告から再訪問して商品を購入した場合、最初のバナー広告のクリックのみが評価されます。潜在顧客獲得のための施策の効果測定に役立つ一方、コンバージョン直前の接点の貢献を無視してしまうというデメリットがあります。

3.3 線形アトリビューション

コンバージョンに至るまでのすべての接点に均等に貢献度を分配するモデルです。すべての接点を平等に評価するため、バランスの取れた分析が可能です。例えば、3つの接点(ソーシャルメディア広告、ウェブサイトへの自然検索流入、メールマガジン)を経てコンバージョンに至った場合、それぞれの接点に33.3%の貢献度が割り当てられます。全てのタッチポイントを公平に評価できる一方、各タッチポイントの貢献度の差が反映されない点が課題です。

3.4 U字型アトリビューション

コンバージョンに至る最初の接点と最後の接点にそれぞれ40%、残りの20%を中間にある他の接点に均等に分配するモデルです。顧客獲得とコンバージョン直前の行動を重視する場合に適しています。最初の顧客接点と最後のコンバージョンを重視できるため、多くの企業で採用されている一方で、中間の接点の貢献度が軽視される可能性があります。

3.5 時間減衰アトリビューション

コンバージョンに近い接点ほど貢献度が高く、遠い接点ほど貢献度が低くなるモデルです。コンバージョン直前の行動を重視する場合に有効です。例えば、1週間前に見た広告よりも、購入直前にクリックした広告の貢献度が高く評価されます。コンバージョン直前の行動を重視できるため、短期的な効果測定に適している一方、長期的なブランド構築への貢献を過小評価する可能性があります。

3.6 データドリブンアトリビューション

機械学習を用いて、過去のデータに基づいて各接点の貢献度を自動的に計算するモデルです。Google アナリティクス4などで利用可能です。膨大なデータを分析し、最適な貢献度を割り当てるため、精度の高い分析が期待できます。ただし、十分なデータ量が必要となります。

3.6.1 データドリブンアトリビューションのメリット・デメリット

メリットデメリット
データに基づいた客観的な評価が可能大量のデータが必要
コンバージョンの予測精度向上アルゴリズムのブラックボックス化
マーケティングROIの最適化導入・運用コスト

これらのアトリビューションモデルの中から、ビジネスの目的や特性、データの量と質などを考慮して最適なモデルを選択することが重要です。また、単一のモデルに固執するのではなく、複数のモデルを組み合わせて分析することで、より多角的な視点からマーケティング施策の効果を評価できます。自社の状況に合わせて適切なモデルを選択し、分析結果に基づいて改善策を講じることで、マーケティング効果の最大化を目指しましょう。

4. アトリビューション分析の方法

Webサイトへのアクセスやコンバージョンに至るまでの、様々なタッチポイントの貢献度を分析するのがアトリビューション分析です。適切なアトリビューション分析を行うことで、マーケティング施策の効果測定と改善が可能になります。ここでは、代表的な分析ツールであるGoogle アナリティクス4とAdobe Analyticsを使ったアトリビューション分析の方法を解説します。

4.1 Google アナリティクス4 を使ったアトリビューション分析

Google アナリティクス4(GA4)は、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。クロスデバイスでのユーザー行動をより正確に把握できるように設計されており、多様なアトリビューションモデルに対応している点が特徴です。GA4では、データドリブンアトリビューションを含む様々なモデルを比較し、最適なモデルを選択することができます。これにより、各マーケティング施策の真の貢献度を理解し、データに基づいた意思決定を行うことが可能になります。

4.1.1 Google アナリティクス4 の設定方法

GA4では、アトリビューションの設定は管理画面から行います。プロパティの設定画面で「アトリビューション設定」を選択し、希望するアトリビューションモデルを選択します。デフォルトではクロスチャネルデータドリブンアトリビューションが設定されています。コンバージョンの種類に応じて適切なアトリビューションモデルを選択することが重要です。

4.1.2 Google アナリティクス4 でのレポートの見方

GA4では、「広告」「エンゲージメント」「コンバージョン」など様々なレポートでアトリビューション分析の結果を確認できます。「コンバージョン」レポートでは、選択したアトリビューションモデルに基づいて、各チャネルのコンバージョンへの貢献度を比較できます。例えば、特定のキャンペーンの効果測定や、チャネル間の相乗効果の分析に活用できます。

4.2 Adobe Analytics を使ったアトリビューション分析

Adobe Analyticsは、Adobeが提供する有料のアクセス解析ツールです。高度な分析機能とカスタマイズ性を備えており、大規模なデータ分析や複雑なアトリビューションモデルの構築が可能です。マーケティング施策の効果をより詳細に分析したい企業に適しています。

Adobe Analyticsでは、様々なアトリビューションモデルを適用し、カスタムモデルを作成することも可能です。これにより、ビジネスニーズに合わせた柔軟な分析が実現できます。例えば、特定のタッチポイントを重視した独自のモデルを作成し、施策の効果をより正確に評価できます。

ツール特徴メリットデメリット
Google アナリティクス4無料、クロスデバイス対応、データドリブンアトリビューション導入コストが低い、多様なレポート機能カスタマイズ性に制限がある
Adobe Analytics有料、高度な分析機能、カスタムモデル作成可能柔軟な分析が可能、詳細なデータ取得導入コストが高い、専門知識が必要

上記の表は、Google アナリティクス4とAdobe Analyticsの特徴を比較したものです。それぞれのツールは特性が異なるため、自社のニーズに合ったツールを選択することが重要です。予算、分析の目的、データ量などを考慮して最適なツールを選びましょう。

アトリビューション分析は、マーケティングROIの最大化に不可欠な要素です。適切なツールと分析手法を用いることで、費用対効果の高いマーケティング戦略を構築し、ビジネスの成長を促進することができます。継続的に分析を行い、市場の変化や顧客行動のトレンドに合わせて改善していくことが重要です。

5. アトリビューション分析に基づいた改善策

アトリビューション分析を実施することで、顧客がコンバージョンに至るまでの各タッチポイントの貢献度を把握できます。この分析結果に基づいて、マーケティング施策を最適化し、費用対効果を最大化することが可能です。以下に、アトリビューション分析に基づいた具体的な改善策を解説します。

5.1 広告予算の最適配分

アトリビューション分析によって、どの広告チャネルやキャンペーンがコンバージョンに大きく貢献しているかを特定できます。例えば、ラストクリックアトリビューションでは見落とされがちだった、認知段階に貢献しているディスプレイ広告やソーシャルメディア広告の価値を再評価できる可能性があります。この分析結果に基づいて、効果の高いチャネルやキャンペーンへの予算配分を増やし、逆に効果の低いものへの予算を削減することで、ROIを向上させることができます。また、アトリビューションモデルの違いによる貢献度の変化を比較することで、各チャネルの役割をより深く理解し、予算配分戦略を最適化できます。

5.1.1 予算配分の具体的な手順

  1. 現状の広告予算配分を確認する。
  2. アトリビューション分析を行い、各チャネルのコンバージョンへの貢献度を把握する。
  3. 貢献度の高いチャネルへの予算配分を増やし、低いチャネルへの配分を減らす。
  4. 変更後の効果を検証し、必要に応じて再調整する。

5.2 コンテンツマーケティングの改善

アトリビューション分析は、顧客がコンバージョンに至るまでに接触したコンテンツを明らかにします。例えば、ブログ記事、ホワイトペーパー、動画など、どのコンテンツが顧客の購買意欲を高めているかを把握できます。貢献度の高いコンテンツをさらに充実させたり、類似コンテンツを作成したりすることで、顧客エンゲージメントを高め、コンバージョン率の向上に繋げることができます。また、コンバージョンに貢献していないコンテンツを分析することで、改善点を見つけることも可能です。

5.2.1 コンテンツ改善のポイント

指標改善策
コンバージョンアシスト数他のコンテンツへの導線を強化する
直帰率コンテンツの内容をより分かりやすく、魅力的にする
滞在時間読者の興味を引く情報を追加する

5.3 カスタマージャーニーの最適化

アトリビューション分析は、顧客がコンバージョンに至るまでの行動経路(カスタマージャーニー)を可視化します。どのタッチポイントで顧客が離脱しているか、どのタッチポイントがコンバージョンに大きく貢献しているかを把握することで、カスタマージャーニー全体の最適化が可能になります。例えば、離脱率の高いタッチポイントを特定し、その原因を分析することで、ウェブサイトのUI/UXの改善や、よりパーソナライズされたコンテンツの提供など、顧客体験を向上させる施策を検討できます。また、貢献度の高いタッチポイントを強化することで、コンバージョン率をさらに高めることができます。

5.3.1 カスタマージャーニー最適化のステップ

  1. カスタマージャーニーマップを作成する。
  2. アトリビューション分析を行い、各タッチポイントの貢献度と離脱率を把握する。
  3. 離脱率の高いタッチポイントの原因を分析し、改善策を検討する。
  4. 貢献度の高いタッチポイントを強化する施策を実施する。
  5. 効果を検証し、継続的に改善していく。

これらの改善策を継続的に実施していくことで、マーケティングROIの最大化、顧客理解の深化、そして最終的にはビジネスの成長に繋げることができます。アトリビューション分析は、複雑化するデジタルマーケティングにおいて、データに基づいた意思決定を行うための強力なツールと言えるでしょう。

6. まとめ

この記事では、アトリビューションの基本的な意味から、マーケティングにおける重要性、主な種類、そして分析方法・ツール、改善策までを解説しました。複雑化するデジタルマーケティングにおいて、アトリビューション分析は費用対効果の最適化や顧客理解の深化に不可欠です。どのタッチポイントがコンバージョンに貢献したかを正しく評価することで、限られた予算を効果的に活用し、最適なマーケティング戦略を立てることができます。

従来のラストクリックアトリビューションだけでなく、ファーストクリック、線形、U字型、時間減衰、そしてデータドリブンアトリビューションなど、様々なモデルが存在します。それぞれのモデルの特徴を理解し、自社のビジネスモデルや目的に合ったモデルを選択することが重要です。Google アナリティクス4のような無料ツールを活用することで、比較的簡単にアトリビューション分析を始められます。分析結果に基づいて、広告予算の最適配分、コンテンツマーケティングの改善、カスタマージャーニーの最適化など、具体的な施策を実行していくことで、更なる成果向上を目指しましょう。

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この記事を書いた人

アプリやEC、Webサービス全般のインハウスマーケティングを支援しています。漫画や音楽、プロレス観戦や競馬が趣味です。

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