ユニットエコノミクス(LTV/CAC)とは?計算式や業種別の目安について解説

ユニットエコノミクスという言葉を知っていますか?ビジネスの成長を理解し、成功に導くための重要な概念です。この指標を理解することで、事業の収益性を見極め、最適な経営判断を下すことができます。本記事では、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)の定義から計算式、業種別の目安、そしてLTV/CAC比の改善策まで、分かりやすく解説します。具体的には、顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得単価(CAC)の計算方法、それぞれの向上・削減施策、そして理想的なLTV/CAC比率を理解し、あなたのビジネスに適用する方法を学ぶことができます。さらに、SaaS、EC、飲食店といった業種別の特徴も解説することで、より実践的な知識を習得できます。架空のECサイトを例にした計算例や、無料で利用できる分析ツールなども紹介しているので、すぐにでもユニットエコノミクスを活用できるようになります。本記事を読み終える頃には、あなたはユニットエコノミクスを理解し、ビジネス成長の強力な武器として使いこなせるようになっているでしょう。

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目次

1. ユニットエコノミクスとは

ビジネスを成功に導く上で、収益性や成長性を理解することは不可欠です。そのための重要な指標の一つが、ユニットエコノミクスです。ユニットエコノミクスとは、顧客一人あたりから得られる収益と、顧客一人を獲得するためにかかるコストの関係性を示すものです。簡単に言うと、一人の顧客からどれだけの利益を生み出せるか を分析する指標です。

1.1 ユニットエコノミクスの定義

ユニットエコノミクスは、一般的に LTV(顧客生涯価値)CAC(顧客獲得単価) の比率(LTV/CAC)で表されます。LTVは、一人の顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす利益の合計を指します。CACは、新規顧客を獲得するために費やしたマーケティング費用や営業費用などを合計し、獲得した顧客数で割ることで算出されます。これらの指標を比較することで、ビジネスの収益性や効率性を評価することができます。

1.2 なぜユニットエコノミクスが重要なのか

ユニットエコノミクスを理解し、適切に分析することは、ビジネスの成長にとって非常に重要です。具体的には、以下の2つの点で重要性を持ちます。

1.2.1 事業の成長性

LTV が CAC を上回っている場合、ビジネスは顧客一人あたりから利益を得られており、持続的な成長が見込めます。逆に、CAC が LTV を上回っている場合、顧客獲得コストが収益を圧迫しており、事業の拡大は困難になります。ユニットエコノミクスを分析することで、事業の成長可能性を評価 し、適切な経営判断を行うことができます。

1.2.2 投資判断

投資家にとって、ユニットエコノミクスは投資判断を行う上で重要な指標となります。高い LTV/CAC 比率 は、ビジネスの収益性と成長性を示すため、投資魅力を高めます。逆に、低い LTV/CAC 比率は、投資リスクが高いと判断される可能性があります。そのため、資金調達を検討している企業は、ユニットエコノミクスを適切に管理し、投資家に対して事業の健全性をアピールする必要があります。

特にスタートアップ企業においては、ユニットエコノミクスの分析は資金調達において非常に重要になります。投資家は、将来的な収益性を予測するために、ユニットエコノミクスを重視する傾向があります。そのため、事業計画段階からユニットエコノミクスを意識し、適切なKPIを設定することが重要です。

指標意味重要性
LTV顧客生涯価値顧客一人あたりから得られる収益の合計
CAC顧客獲得単価新規顧客一人を獲得するためにかかるコスト
LTV/CACLTVとCACの比率ビジネスの収益性と効率性を示す指標

2. LTV(顧客生涯価値)とは

LTV(Life Time Value)とは、日本語で顧客生涯価値と呼ばれ、一人の顧客が企業との取引を通じて、生涯にわたってどれだけの利益をもたらしてくれるかを金額で表した指標です。顧客獲得コストと並んで、ビジネスの収益性を測る上で非常に重要なKPIとなります。

2.1 LTVの計算式

LTVの計算式はいくつかありますが、基本的な計算式は以下の通りです。

LTV = 顧客あたりの平均購入単価 × 顧客あたりの平均購入回数 × 平均顧客寿命

2.1.1 顧客あたりの平均購入単価

顧客あたりの平均購入単価は、一定期間における顧客一人あたりの平均的な購入金額です。顧客全体の売上高を顧客数で割ることで算出できます。例えば、あるECサイトで1年間の売上高が1億円、顧客数が1万人の場合、顧客あたりの平均購入単価は1万円となります。

2.1.2 顧客あたりの平均購入回数

顧客あたりの平均購入回数は、一定期間における顧客一人あたりの平均的な購入回数です。顧客全体の購入回数を顧客数で割ることで算出できます。例えば、前述のECサイトで1年間の購入回数が2万回だった場合、顧客あたりの平均購入回数は2回となります。

2.1.3 平均顧客寿命

平均顧客寿命とは、一人の顧客が企業と取引を継続する平均的な期間です。顧客の解約率から算出する方法が一般的です。例えば、年間の解約率が20%の場合、平均顧客寿命は5年(1 ÷ 0.2 = 5)となります。

これらの要素を掛け合わせることで、LTVを算出できます。前述のECサイトの例では、LTVは1万円 × 2回 × 5年 = 10万円となります。

2.2 LTV向上のための施策

LTVを向上させるためには、顧客あたりの平均購入単価、顧客あたりの平均購入回数、平均顧客寿命のいずれかを向上させる必要があります。具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。

2.2.1 アップセル/クロスセル

アップセルとは、顧客により高価格な商品やサービスを購入してもらうための施策です。例えば、パソコンを購入した顧客に上位機種を提案したり、保証期間の延長を勧めるなどが挙げられます。クロスセルとは、顧客に関連商品やサービスを併せて購入してもらうための施策です。例えば、パソコンを購入した顧客にプリンターやマウスを提案したり、ソフトウェアの購入を勧めるなどが挙げられます。これらの施策によって、顧客あたりの平均購入単価を向上させることができます。

2.2.2 顧客ロイヤルティ向上

顧客ロイヤルティとは、顧客の企業に対する愛着や信頼の度合いです。顧客ロイヤルティが高い顧客は、リピート購入してくれる可能性が高く、平均顧客寿命も長くなります。顧客ロイヤルティを向上させるためには、顧客満足度を高めるための様々な施策が有効です。例えば、ポイントプログラムや会員限定の優待サービスを提供したり、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、サービス改善に繋げるなどが挙げられます。また、パーソナライズされたコミュニケーションや質の高いカスタマーサポートも重要です。ロイヤルカスタマー育成のための特別なプログラムを実施することも有効です。例えば、Amazonプライムのような会員制プログラムは、送料無料や動画配信サービスなどの特典を提供することで、顧客ロイヤルティを高め、LTV向上に貢献しています。

施策効果具体例
アップセル顧客単価向上上位機種の提案、保証期間延長の提案
クロスセル顧客単価向上関連商品・サービスの提案
ポイントプログラム顧客維持率向上、購入頻度向上ポイント付与、ポイント交換
会員限定サービス顧客維持率向上、顧客単価向上割引、先行販売、限定イベント
パーソナライズドコミュニケーション顧客維持率向上、購入頻度向上個別メール配信、おすすめ商品表示
質の高いカスタマーサポート顧客維持率向上、顧客ロイヤルティ向上迅速な対応、丁寧な説明

3. CAC(顧客獲得単価)とは

CAC(Customer Acquisition Cost)とは、顧客1人を獲得するためにかかった費用のことを指します。ビジネスの成長には新規顧客の獲得が不可欠ですが、そのためにかけるコストを把握し、最適化していくことは、事業の収益性を高める上で非常に重要です。

CACは、マーケティングやセールス活動にかかる費用全体を、獲得した顧客数で割ることで算出されます。低いCACは、効率的な顧客獲得ができていることを示し、高いCACは、顧客獲得に過剰なコストがかかっている可能性を示唆します。そのため、CACを継続的にモニタリングし、改善していく努力が求められます。

3.1 CACの計算式

CACの計算式はシンプルです。

CAC = マーケティング費用 ÷ 新規獲得顧客数

この式における「マーケティング費用」と「新規獲得顧客数」の定義を明確にすることが重要です。特定の期間(例:1ヶ月、1四半期、1年)における値を用いて計算します。

3.1.1 マーケティング費用

マーケティング費用には、顧客獲得に関連するあらゆるコストが含まれます。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • オンライン広告費用(Google広告、Yahoo!広告、SNS広告など)
  • オフライン広告費用(テレビCM、新聞広告、チラシなど)
  • イベント開催費用
  • コンテンツ制作費用(ブログ記事、動画、ホワイトペーパーなど)
  • SEO対策費用
  • マーケティング担当者の人件費
  • 営業担当者の人件費(インサイドセールスなど新規顧客獲得に関わる部分)
  • CRMツールなどのマーケティングツール利用料

これらの費用を漏れなく集計することで、正確なCACを算出できます。自社のビジネスモデルに合わせて、計上する項目を明確に定義しておくことが重要です。

3.1.2 新規獲得顧客数

新規獲得顧客数とは、特定の期間内に新たに獲得した顧客の数です。既存顧客からの追加購入やリピート購入は含まれません。新規顧客の定義を明確にすることが重要です。例えば、初回購入者、無料トライアル登録者、会員登録者など、自社のビジネスモデルに合わせて定義します。

3.2 CAC削減のための施策

CACを削減するためには、マーケティング費用を抑えながら、新規顧客獲得数を増やす必要があります。具体的な施策として、以下のようなものが挙げられます。

3.2.1 広告費用最適化

広告費用最適化は、費用対効果の高い広告運用を行うことで、CACを削減する施策です。 具体的な施策例は以下の通りです。

  • ターゲティング精度の向上:より精度の高いターゲティングを行うことで、広告費用を無駄なく活用できます。
  • キーワード選定の最適化:適切なキーワードを選定することで、コンバージョン率を高め、CACを削減できます。
  • A/Bテストの実施:広告クリエイティブやランディングページのA/Bテストを実施することで、コンバージョン率の向上を目指します。
  • 広告プラットフォームの選定:自社のターゲット層に最適な広告プラットフォームを選定することで、効率的な広告配信が可能です。

3.2.2 コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、良質なコンテンツを提供することで、見込み顧客を獲得し、育成していく施策です。ブログ記事、ホワイトペーパー、動画、インフォグラフィックなど、様々なコンテンツ形式を活用できます。SEO対策と組み合わせることで、長期的な視点でCACを削減できます。

その他、以下のような施策も有効です。

  • Referral Marketing (紹介マーケティング): 既存顧客からの紹介を促進することで、低いCACで新規顧客を獲得できます。
  • ソーシャルメディアマーケティング: SNSを活用して、認知度向上や見込み顧客の獲得を目指します。
  • メールマーケティング: 顧客リストを活用し、パーソナライズされたメール配信で顧客獲得を目指します。
  • ウェブサイト最適化: ウェブサイトのUI/UXを改善することで、コンバージョン率を高め、CACを削減できます。
  • セールスプロセスの改善: 営業担当者のパフォーマンス向上や、営業ツールの導入によって、効率的な顧客獲得を目指します。

CAC削減は、継続的な取り組みが必要です。上記のような施策を組み合わせ、PDCAサイクルを回しながら、最適な方法を見つけていくことが重要です。

4. LTV/CACとは

LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得単価)を比較した指標であるLTV/CACは、ユニットエコノミクスにおいて最も重要な指標の一つです。顧客獲得にかかった費用に対して、顧客が生涯を通じてどれだけの利益をもたらすかを示す指標であり、事業の収益性や成長性を評価する上で欠かせません。LTV/CACを理解することで、マーケティング投資の効率性を判断し、適切な経営判断を行うことができます。

4.1 LTV/CACの理想的な比率

一般的に、LTV/CACの理想的な比率は3以上と言われています。これは、顧客獲得にかかった費用に対して、顧客が生涯を通じて3倍以上の利益をもたらす状態を意味します。しかし、この比率は業種やビジネスモデルによって大きく異なるため、一概に3以上であれば良いというわけではありません。例えば、SaaSのような継続課金型のビジネスモデルでは、LTVが高くなる傾向があるため、LTV/CACも高くなる傾向があります。一方で、薄利多売のビジネスモデルでは、LTVが低くなる傾向があるため、LTV/CACも低くなる傾向があります。自社のビジネスモデルや市場環境を考慮し、適切なLTV/CACの目標値を設定することが重要です。

LTV/CACが1を下回っている場合は、顧客獲得にかかる費用が顧客から得られる利益を上回っている状態であり、ビジネスモデルとして持続不可能です。早急な改善が必要です。LTV/CACが1〜3の間にある場合は、改善の余地がある状態です。LTV向上やCAC削減の施策を検討する必要があります。LTV/CACが3以上ある場合は、良好な状態です。現状維持に努めつつ、更なる成長を目指してLTV向上やCAC削減の施策を継続的に実施していくことが重要です。

LTV/CAC状態対応
1未満危険ビジネスモデルの見直しが必要
1〜3改善が必要LTV向上、CAC削減の施策実施
3以上良好現状維持、更なる成長を目指す

4.2 LTV/CACが低い場合の改善策

LTV/CACが低い場合は、LTVを向上させるか、CACを削減する必要があります。具体的な施策は以下の通りです。

4.2.1 LTV向上のための施策

  • アップセル/クロスセル:既存顧客に対して、より高価格帯の商品やサービス、関連商品を販売することで、顧客一人あたりから得られる収益を増加させる。
  • 顧客ロイヤルティ向上:顧客満足度を高め、リピーターを増やすことで、顧客寿命を延ばし、LTVを向上させる。ロイヤルティプログラムの導入や、顧客との良好な関係構築などが有効。
  • 価格戦略の見直し:適切な価格設定を行うことで、収益性を向上させる。値上げや価格改定も検討する。
  • 商品・サービスの品質向上:顧客満足度を高め、リピート率向上に繋げる。

4.2.2 CAC削減のための施策

  • 広告費用最適化:費用対効果の高い広告チャネルに投資を集中させる。ターゲティング精度を高め、無駄な広告費用を削減する。
  • コンテンツマーケティング:良質なコンテンツを作成し、オーガニック検索流入を増やすことで、広告費用を抑えながら顧客を獲得する。SEO対策やブログ運営などが有効。
  • 口コミマーケティング:顧客に自社商品・サービスを推奨してもらうことで、新規顧客獲得コストを抑える。
  • リファラルマーケティング:既存顧客からの紹介を促進することで、効率的に新規顧客を獲得する。紹介キャンペーンの実施などが有効。
  • 営業プロセス改善:営業活動の効率化を図ることで、顧客獲得コストを削減する。CRMツールの導入や、営業担当者のスキルアップなどが有効。例えば、SansanやSalesforceなどのツールを活用することが考えられる。

LTV/CACを改善するためには、上記のような施策を組み合わせて、総合的に取り組むことが重要です。また、効果測定を定期的に行い、PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善を図ることが重要です。

5. 業種別のユニットエコノミクス

業種によってビジネスモデルは大きく異なり、顧客獲得方法や収益化の仕組みも様々です。そのため、ユニットエコノミクスも業種ごとに異なる傾向を示します。ここでは代表的な業種におけるユニットエコノミクスの特徴と、LTV/CACを改善するためのポイントを解説します。

5.1 SaaS

SaaSはサブスクリプション型のビジネスモデルであるため、顧客との長期的な関係構築が重要です。初期費用を抑えて顧客を獲得し、継続利用による収益最大化を目指します。

5.1.1 SaaSにおけるLTV向上のポイント

  • カスタマーサクセスへの投資:顧客の成功を支援することで解約率を低下させ、LTVを向上させます。
  • 上位プランへのアップグレード促進:顧客のニーズに合わせて上位プランへのアップグレードを促し、顧客単価を向上させます。
  • 長期契約の促進:年間契約などの長期契約を促進することで、安定した収益基盤を築きます。

5.1.2 SaaSにおけるCAC削減のポイント

  • コンテンツマーケティング:SEO対策を施したブログ記事やウェビナーなどを活用し、オーガニック流入を増やすことで広告費用を抑えます。
  • リファラルプログラム:既存顧客からの紹介を促進することで、低コストで新規顧客を獲得します。
  • 無料トライアルの最適化:無料トライアルの期間や機能を最適化することで、コンバージョン率を高めます。

5.2 EC

ECは商品販売による収益が中心となるため、リピート率向上と顧客単価向上がLTV向上の鍵となります。

5.2.1 ECにおけるLTV向上のポイント

  • パーソナライズされたレコメンド:顧客の購買履歴に基づいた商品レコメンドでクロスセル・アップセルを促進します。
  • ポイントプログラム:ポイントプログラムを通じて顧客ロイヤルティを高め、リピート購入を促進します。
  • メールマーケティング:新商品情報やセール情報などを配信し、顧客との継続的な接点を維持します。

5.2.2 ECにおけるCAC削減のポイント

  • SNSマーケティング:InstagramやTwitterなどのSNSを活用し、ターゲット層へのリーチを高めます。
  • インフルエンサーマーケティング:インフルエンサーと提携し、商品認知度向上と購買意欲を高めます。
  • 広告費用最適化:Google広告やYahoo!広告などを活用し、費用対効果の高い広告運用を行います。

5.3 飲食店

飲食店は来店頻度と客単価がLTVに大きく影響します。顧客体験の向上とリピーター獲得が重要です。

5.3.1 飲食店におけるLTV向上のポイント

  • 顧客満足度の向上:高品質な料理とサービスを提供することで、顧客満足度を高め、再来店を促進します。
  • 会員プログラム:会員限定の特典やクーポンを提供することで、リピーター獲得を目指します。
  • イベント開催:季節ごとのイベントや限定メニューを提供することで、来店頻度を高めます。

5.3.2 飲食店におけるCAC削減のポイント

  • ローカルSEO対策:Googleマイビジネスなどを活用し、地域検索での露出を高めます。
  • 口コミサイト活用:食べログやぐるなびなどの口コミサイトで好評価を獲得し、新規顧客獲得につなげます。
  • SNSでの情報発信:InstagramやFacebookでお店の魅力を発信し、認知度向上と集客につなげます。
業種LTV向上施策例CAC削減施策例LTV/CACの目安
SaaSカスタマーサクセス、アップグレード促進、長期契約コンテンツマーケティング、リファラル、無料トライアル最適化3以上
ECパーソナライズドレコメンド、ポイントプログラム、メールマーケティングSNSマーケティング、インフルエンサーマーケティング、広告最適化2以上
飲食店顧客満足度向上、会員プログラム、イベント開催ローカルSEO、口コミサイト活用、SNS情報発信1.5以上

上記のLTV/CACの目安はあくまでも一般的な値であり、業界の成長性や競争環境によって変化します。自社のビジネスモデルや市場状況に合わせて適切なLTV/CACを設定し、事業成長を目指しましょう。

6. ユニットエコノミクスの計算例

ここでは、架空のECサイト「〇〇ストア」を例に、ユニットエコノミクスの計算方法を具体的に見ていきましょう。〇〇ストアは、オーガニックコスメを販売するオンラインストアです。

6.1 架空のECサイトを例にしたユニットエコノミクスの計算

まずは、LTVの計算に必要な各指標を算出します。

6.1.1 顧客あたりの平均購入単価

〇〇ストアにおける顧客あたりの平均購入単価は、8,000円とします。

6.1.2 顧客あたりの平均購入回数

顧客は平均して年に2回購入すると仮定します。リピート率向上施策の効果で、初回購入から1年以内に2回目の購入に至るケースが多いというデータに基づいています。

6.1.3 平均顧客寿命

顧客の平均寿命は3年とします。これは、顧客データ分析から算出された値です。

これらの値に基づき、LTVを計算します。

LTV = 8,000円(顧客あたりの平均購入単価) × 2回(顧客あたりの平均購入回数/年) × 3年(平均顧客寿命) = 48,000円

次に、CACの計算に必要な各指標を算出します。

6.1.4 マーケティング費用

〇〇ストアは、リスティング広告、SNS広告、アフィリエイト広告などに月間100万円のマーケティング費用を支出しています。

6.1.5 新規獲得顧客数

上記のマーケティング費用によって、月に200人の新規顧客を獲得しているとします。

これらの値に基づき、CACを計算します。

CAC = 1,000,000円(マーケティング費用/月) ÷ 200人(新規獲得顧客数/月) = 5,000円

最後に、LTVとCACを用いて、LTV/CACを計算します。

LTV/CAC = 48,000円(LTV) ÷ 5,000円(CAC) = 9.6

〇〇ストアのLTV/CACは9.6です。一般的に、SaaSビジネスでは3以上、ECでは3〜5程度が理想と言われています。〇〇ストアはオーガニックコスメという高単価商材を扱っており、リピート率も高いため、9.6という高いLTV/CACを実現できています。しかし、現状に満足せず、更なるLTV向上やCAC削減の施策を検討していく必要があります。

指標
顧客あたりの平均購入単価8,000円
顧客あたりの平均購入回数/年2回
平均顧客寿命3年
LTV48,000円
月間マーケティング費用1,000,000円
新規獲得顧客数/月200人
CAC5,000円
LTV/CAC9.6

この計算例はあくまで一例です。実際の計算では、より詳細なデータに基づいて計算する必要があります。例えば、顧客セグメントごとにLTV/CACを計算することで、より精緻な分析が可能になります。また、顧客獲得のための施策ごとにCACを計算することで、どの施策が効率的なのかを把握することも重要です。

7. ユニットエコノミクス分析ツール

ユニットエコノミクスを分析するためのツールは、事業の健全性を評価し、成長戦略を策定する上で非常に役立ちます。無料のものから有料のものまで、様々なツールが存在します。それぞれの機能や特徴を理解し、自社のニーズに合ったツールを選択することが重要です。

7.1 無料で利用できるツール

無料で利用できるツールは、手軽にユニットエコノミクスを分析したい場合に最適です。基本的な指標を算出する機能が備わっており、導入コストを抑えながら分析を始められます。

7.1.1 Google スプレッドシート

Google スプレッドシートは、無料で利用できる表計算ソフトです。数式を入力することで、LTVやCACなどの指標を簡単に計算できます。また、グラフ作成機能も備わっており、視覚的にデータを分析することも可能です。テンプレートを活用すれば、より効率的に分析を進められます。

7.1.2 Excel

Microsoft Excelも、表計算ソフトとして広く利用されています。Google スプレッドシートと同様に、数式やグラフ作成機能を利用してユニットエコノミクスを分析できます。豊富な関数やマクロ機能を活用することで、より高度な分析も可能です。

7.2 有料ツール

有料ツールは、より高度な分析機能や自動化機能を備えています。事業規模が拡大し、より詳細な分析が必要になった場合に検討すると良いでしょう。

7.2.1 Salesforce

Salesforceは、CRM(顧客関係管理)ツールとして広く知られています。顧客データの一元管理、売上予測、マーケティングオートメーションなど、様々な機能が備わっています。これらの機能を活用することで、LTVやCACを自動的に算出し、分析することができます。

7.2.2 kintone

kintoneは、サイボウズが提供するクラウド型の業務改善プラットフォームです。顧客管理、売上管理、タスク管理など、様々な業務アプリを作成できます。これらのアプリを連携させることで、ユニットエコノミクスに必要なデータを収集し、分析することができます。カスタマイズ性が高いため、自社の業務フローに合わせた分析環境を構築できます。

7.2.3 freee

freeeは、クラウド会計ソフトとして知られています。会計データだけでなく、販売管理や給与計算などのデータも連携させることで、より精度の高いユニットエコノミクス分析が可能になります。API連携機能も充実しており、他のツールとの連携も容易です。

ツール名料金主な機能メリットデメリット
Google スプレッドシート無料表計算、グラフ作成手軽に利用できる、コストがかからない高度な分析には不向き
Excel有料表計算、グラフ作成、マクロ機能高度な分析が可能ライセンス費用が必要
Salesforce有料CRM、売上予測、マーケティングオートメーションLTV/CACの自動算出、顧客データの一元管理導入コストが高い
kintone有料業務アプリ作成、データ連携カスタマイズ性が高い、自社に合わせた分析環境を構築できるある程度のIT知識が必要
freee有料クラウド会計、販売管理、給与計算精度の高い分析が可能、API連携が充実会計データ以外の連携が必要な場合がある

これらのツール以外にも、様々なユニットエコノミクス分析ツールが存在します。自社の事業規模や分析ニーズに合わせて、最適なツールを選択しましょう。ツールを活用することで、効率的にユニットエコノミクスを分析し、事業成長につなげることが可能になります。

8. まとめ

この記事では、ユニットエコノミクス、LTV(顧客生涯価値)、CAC(顧客獲得単価)、そしてLTV/CAC比について解説しました。ユニットエコノミクスは、顧客1人あたりから得られる利益と、顧客1人を獲得するためのコストを比較することで、ビジネスの収益性を測る重要な指標です。事業の成長性や投資判断において、欠かせない要素と言えるでしょう。

LTVを高めるためには、アップセル/クロスセルや顧客ロイヤルティ向上施策が有効です。一方、CACを削減するには、広告費用最適化やコンテンツマーケティングなどが効果的です。理想的なLTV/CAC比は3以上と言われています。もしLTV/CAC比が低い場合は、LTV向上とCAC削減の両面から改善策を検討する必要があります。業種によって、適切なLTV/CAC比やその改善方法は異なるため、自社のビジネスモデルに合わせた戦略を立てることが重要です。例えば、SaaSではサブスクリプションモデルの特性上、高いLTVが期待できます。ECではリピート率向上が、飲食店では客単価向上や来店頻度向上が重要になります。

ユニットエコノミクスの計算例や分析ツールも紹介しましたので、ぜひ自社のビジネスに活用してみてください。無料で利用できるGoogleアナリティクスなどを活用し、現状を把握するところから始めてみましょう。ユニットエコノミクスを理解し、適切な施策を実行することで、持続的なビジネス成長を実現できるはずです。

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この記事を書いた人

アプリやEC、Webサービス全般のインハウスマーケティングを支援しています。漫画や音楽、プロレス観戦や競馬が趣味です。

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